Novel life~musashimankun’s blog~

漫画「きっと、いいことあるさ~君が住む街で~」を週刊で連載しています。

2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「闇が滲む朝に」🐑 章 第10回「ぶうん!! ん?突然の五十六の足蹴りに怯む」

中華屋の客はほとんどが建設作業員 「中華屋・ぶんぺい」はいつの間にか満席になった。客のほとんどが建設作業員だ。 騒がしい中で徹は「ちゃんぽん麺」をすすりながら目を閉じた。熱いのだ。 「弟さん、クリーンモリカミで働いてどれくらいになるんですか」…

「闇が滲む朝に」🐑 章 第9回「昼間からビール三昧の五十六の鋭い眼光にヒヤリ」

昼から生ビールを飲む顔の大きな男 徹は文平の言う、たかど、という名前を聞いたことがなかった。 「たかどさん・・・・ですか」 「確か、『キタキツネビル』で働いているって言ってたな」 顔の大きなベートベン似の男が言った。 「『キタキツネビル』ですか…

「闇が滲む朝に」🐑 章 第8回「ジャジャジャジャーン、ベートベン男と会った」

中華屋で会った顔が大きい男 徹は「ラッキー園」を出ると道の向かい側の「中華屋・ぶんぺい」の暖簾が出ているのを確認した。信号が青に変わったのを確認すると、急ぎ足で歩道を渡る。 「こんちわ」 「中華屋・ぶんぺい」の戸を開ける。ガラガラと音を立てて…

「闇が滲む朝に」🐑章 第7回 「中華屋の文平が宝くじを当てた理由」

昼飯は中華屋のぶんぺい しばらくして伸江に続き明子も控室も出た。高齢者施設「ラッキー園」の午前中の清掃の仕事はこれで一段落する。午前11時40分過ぎ、徹はクリーンモリカミのスタッフが常駐する控室を出ると、そのまま施設のエントランスへと向かった。…

「闇が滲む朝に」🐑章 第6回。「かえるぴょこぴょこ 、超早口で仕事も早い人」

仕事も早いが話しぶりも早い人 「とにかく、明日、チェックするから、綺麗に磨くのよ」 明子は話を戻すとお茶を飲んだ。 シングルマザーの飯山伸江も戻ってきた。「お疲れさまです」 伸江はいつもの早口で言うと控え室奥の自分のロッカーの方に向かう。「お…

「闇が滲む朝に」🐑章 第5回  「綺麗に磨けば心も洗われるのよ」

ひたすら身体を動かし続ける仕事 徹は「ラッキー園」の総務の部屋を過ぎ、奥の小さな清掃員用の休憩所に入った。午前11時、そろそろ明子も伸江も休憩にはいる時間帯だ。 徹の仕事は午前6時から午後3時までと契約されているが、実際には午前中は11時半ごろ…

「闇が滲む朝に」🐑 章 第4回「渡り鳥のように飛び続けることができるか」

渡り鳥の飛来に感謝する 徹はカートから落ち葉の入った90ミリリットルのビニール袋を取り出し、高齢者施設「ラッキー園」の庭の隅にある横用具入れ隣のゴミ収集倉庫に置いた。 ピーッ、ピピピ、どこからかツグミの鳴き声が耳に届く。 目の前に広がる青い空と…

「闇が滲む朝に」🐑 章 第3回「人間も冬眠すればいいのに」

人間も夏眠や冬眠すればいいのに 清掃の仕事の悪さを指摘されるたびに、森木徹は一体、このばあさんどうしたの?と思うくらいに、突然に雷神のような顔に豹変し、睨みをきかす明子を思い出しながら、(・д・)チッと舌打ちする。『ったく、るせいババア』だと思…

「闇が滲む朝に」🐑章 第2回「AIの庭掃除ロボットができたら、ますます仕事がなくなるだろうなあ」

やっぱ、人の命を奪う自然は恐い キーンと冷気が張る静かな金曜の午前9時過ぎ、ピピピッ、ピピピッ、ピピピ・・・銀杏の木々が青空にそびえ立つ園内に、ツグミのさえずりだけが森木徹の耳に響く。徹の3メートル程先に立つ柿の枝々で2羽のツグミが行き交う…