Novel life~musashimankun’s blog~

漫画「きっと、いいことあるさ~君が住む街で~」を週刊で連載しています。

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

Novel「闇が滲む朝に」第★章5回「暑さと疲労と不安で、おろおろしても」

片山二郎は鶴子との世間話を終えると「鈴音」のエレベーターを押し4階に上がる。ここで洗面所の清掃をするのだ。仕事は簡単だから誰でもできる。そんな誰でもできる仕事で片山は生活しているのだ。時折、疲労からむなしくなることもある。そんな時にふと思…

Novel「闇が滲む朝に」第★章4回「暑さにも、雨にも、風にも負けない力」  

片山二郎が「鈴音」の給湯室の清掃を始めようと、物置き場から上の階に上がろうとした時、トイレを清掃する吉見鶴子が入ってきた。鶴子は息子と娘を持つシングルマザーだ。今年で65歳になる。新潟出身だが大阪に住んでいたことがあり、会話はほとんど関西弁…

 Novel「闇が滲む朝に」第★章3回「リストラされた平のしゃべりが止まらない」

片山二郎は料亭「鈴音」で先輩の鈴木平を待った。平はパソコン関係の会社を2年前にリストラになってから清掃の仕事を始めた。話好きの平はさっそく、昨日のボクシング世界戦のことを話ひ出す。平はいつも話をしだす。話し出すと止まらない。そんな平と話し…

Novel「闇が滲む朝に」第★章2回「下町の料亭で働くジーンズ姿の女将」

片山二郎は早朝のキタキツネビルでの仕事を終えると、次の仕事場である下町の高級料亭「鈴音」に向かった。下町にある料亭は4階建ての近代的なビルで、ジーンズ姿で通う女将が仕切る。ここで片山は昼過ぎまで清掃の仕事に就いている。建物は近代的だが、店…

Novel「闇が滲む朝に 第★章1回『踏まれても踏まれても、道のように平然と』」

都内で早朝から仕事に就く片山二郎の平日の朝は早い。午前3時には起床し4時には自宅を出る。帰宅は午後8時30分だから、平日はほとんど家にはいない。都内のキタキツネビルで仕事を終えると10時からは現代的な作りの料亭で清掃の仕事に就く。今年も暑くな…