Novel life~musashimankun’s blog~

漫画「きっと、いいことあるさ~君が住む街で~」を週刊で連載しています。

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

Novel「闇が滲む朝に」第☆章13回「ある日、自我を捨て奉仕せよと月が言った」

今まで本など読む時間がなかった鶴子が、本を読みだしたのは最近のことだ。それも時代小説ばかり読んでいた。そんな鶴子は宮沢賢治の「雨にも負けず」の詩のことを、息子から紹介されて気に入ったのだ。鶴子が「銀河鉄道の夜」を読んでいるのは、必ずわけが…

Novel「闇が滲む朝に」第☆章12回「くふふと笑いながら銀河を旅した日」

片山は1階に降りると、ビル続きの倉庫に入った。倉庫では鶴子が用具類の整理をしていた。鶴子は良子の様子を聞いてくる。数か月前に体調を崩し1週間ほど休んだのだという。元気そうな鶴子も料亭の女将となると何かと大変なんだと片山は思う。そんなことを…

Novel「闇が滲む朝に」第☆章11回「花言葉は幸福と、人間技を超えたプロレスの力」

片山は「鈴音」の4階「なでしこ」で良子に業務連絡表を渡した。いつも仕事が終わり次第、良子にサインしてもらうのだ。この部屋は主に良子が仕事をする料亭の事務所になっていた。良子の座る机にはパソコンがおかれ、周りには本が数冊、並べられている。そ…

Novel「闇が滲む朝に」第☆章10回「辛い時はジョークで笑いながら乗り越える」

鶴子は清掃から休憩所のある倉庫に戻ると、片山に「鈴音」三階の「もみじの部屋」前の洗面が詰まりかけていることを告げた。洗面の詰まりなどすぐに改善するのだけど、通常の仕事では、あまり発生しない仕事が入った場合、片山はジョークを言って自分を奮起…